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税務ガイド

ベッカム法とは【2026年】スペイン移住で所得税を一律24%にする条件と申請方法

リモートワーカー、駐在員、起業家が使えるスペインの特別税制のしくみ、節税の効果、対象外になる所得、申請期限を解説します

ベッカム法は、仕事のためにスペインに移住した人のための特別税制です。最高47%以上の累進課税で全世界所得に課税される代わりに、要件を満たす移住者はスペインでの給与所得に60万ユーロまで一律24%で課税され、国外の所得は6年間ほぼスペインの課税対象外になります。2023年からはデジタルノマドビザで入国するリモートワーカーも対象になり、スペイン移住の計画に欠かせない制度になりました。この記事では、要件、効果、対象外になるもの、申請期限、デジタルノマドビザとの組み合わせを解説します。

先に結論

  • 雇用、リモートワーク、起業、役員就任のためにスペインに移住し、過去5年間スペインの税務居住者でなかった人が対象です
  • スペインでの給与・事業所得は60万ユーロまで一律24%、超過分は47%で課税されます
  • 国外の配当、利子、不動産収入などは原則としてスペインで課税されず、富裕税と海外資産申告もスペイン国内の資産に限られます
  • 適用期間は居住者になった年と、その後5年間の合計6年です
  • 社会保険の登録または活動開始から6か月以内に申請する必要があり、一度選択すると撤回できません
サグラダ・ファミリア

第1部:ベッカム法とは

正式名称は「スペイン領土に赴任した労働者のための特別制度(régimen especial para trabajadores desplazados)」で、2005年に創設されました。レアル・マドリードに移籍したサッカー選手のデビッド・ベッカム氏が最初期に利用したことから、ベッカム法と呼ばれています。在留と居住の上ではスペインの居住者でありながら、税務上はほぼ非居住者として扱われる制度です。

第2部:2026年の適用要件

次の条件をすべて満たす必要があります。

1. 過去5年間スペインの税務居住者でないこと

移住する年の前5年間に、スペインの税務上の居住者であった年がないことが条件です。以前は10年でしたが、2023年に5年に短縮されました。

2. 移住の理由が次のいずれかであること

  • スペイン企業との雇用契約、または海外企業からのスペインへの赴任
  • 海外の雇用主のためのリモートワーク(デジタルノマドビザによるものを含む)で、コンピュータと通信手段を使ってスペインから行う仕事
  • スペイン企業の役員への就任(資産管理会社の場合は持分25%未満)
  • 当局が革新的と認めた起業活動
  • スタートアップでの高度専門職や研究開発活動で、所得の40%超がその活動によるもの

3. スペインに恒久的施設を持つ事業所得がないこと

スペインから顧客に請求するだけのフリーランスは、起業家、高度専門職、役員のいずれかに該当しない限り、原則として対象になりません。

配偶者と25歳未満の子ども(障害のある子どもは年齢を問わず)も、一緒に移住して居住の条件を満たせば、同じ制度を選択できます。

第3部:ベッカム法の効果

  • スペインでの給与・事業所得は、年60万ユーロまで一律24%、超過分は47%で課税されます。通常の累進課税では、はるかに低い所得水準で47〜50%に達します
  • 国外で得た所得は、給与所得を除き、スペインで課税されません。日本の配当、利子、譲渡益、不動産収入はスペインの申告から外れます(日本側で課税される場合はあります)
  • スペイン国内の貯蓄所得(利子・配当・譲渡益)は居住者と同じ19〜30%です
  • 富裕税と大資産連帯税は、スペイン国内にある資産だけが対象です
  • 海外資産の申告(モデロ720)が免除されます
  • スペインの租税条約上の居住者証明は原則として取れないため、非居住者に高い税率を課す国からの所得には注意が必要です

例として、年収12万ユーロのリモートワーカーの場合、ベッカム法なら所得税は約28,800ユーロ、通常の累進課税なら控除や州の違いを考慮する前で約45,000ユーロ以上になります。

ラス・パルマスのベゲタ地区にあるサンタ・アナ大聖堂

第4部:対象外になるもの、変わらないもの

  • 国外の雇用主からの給与も、スペインで働いた分はスペインで一律税率で課税されます
  • 社会保険料は軽減されません。従業員は約6.5%、自営業者は所得に応じた月額を納めます
  • 基礎控除、年金掛金、家族の控除など、通常の居住者が使える控除は使えません
  • 日本側の手続きは変わりません。日本の住民票を抜き、非居住者として日本の所得は日本で申告します

第5部:申請の方法と期限

  1. スペインの社会保険に登録するか、対象となる活動を開始します。
  2. 6か月以内に、税務署に様式149を提出します。雇用契約書、赴任命令書、デジタルノマドビザ、会社の書類など、移住の理由を証明する書類を添付します。
  3. 税務署からの承認通知を受け取り、雇用主に渡して24%の源泉徴収を適用してもらいます。
  4. 毎年の確定申告は、通常の様式100ではなく様式151で行います。

6か月の期限は厳格で、過ぎると全期間が通常の居住者として課税されます。一度選択すると撤回できませんが、将来の年について放棄することはできます。

第6部:デジタルノマドビザとの組み合わせ

2023年のスタートアップ法により、デジタルノマドビザで入国し海外の雇用主のために働くリモートワーカーも対象になりました。国内申請で得られる3年の許可と合わせると、スペインはヨーロッパでも税務上有利なリモートワークの拠点になります。海外企業の従業員と創業者に最も効果があり、自分の顧客に請求するフリーランスの方は、起業家や高度専門職の枠に当てはまるかを事前に確認してください。

まとめ

ベッカム法を使うと、スペインでの給与所得の税率を一律24%に下げ、国外所得を6年間ほぼ非課税にできます。過去5年間スペインの税務居住者でないこと、雇用・リモートワーク・起業・役員のための移住であること、6か月以内の申請が条件です。当社では、提携する税理士とともに、ビザの選択と税制の適用可否を移住前に確認し、一体で設計しています。

本記事の内容は執筆時点の一般的な情報であり、個別の税務助言ではありません。税率や要件は変わりますので、実際のご判断にあたっては税理士など専門家の最新情報をご確認ください。

写真: Américo Toledano / CC BY-SA 4.0 · CarlotaBGarcia18 / CC BY 4.0 (Wikimedia Commons)

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